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2011年 12月 31日
http://www.youtube.com/watch?v=Jim8D5OahrY
『上を向いて歩こうA』篇 60秒 2011.04.15 Fri 出演者 - 和田アキ子/近藤真彦/竹内結子/富司純子/檀れい/本木雅弘/小栗旬/ベッキー/堺正章/宮沢りえ/岡田将生/松田聖子 http://www.suntory.co.jp/enjoy/movie/d_s/880953901001.html http://www.youtube.com/watch?v=Gn_uO19D2fo 『上を向いて歩こうB』篇 60秒 2011.04.15 Fri 出演者 : やくみつる/松平健/三浦友和/小林克也/中村獅童/石原さとみ/左右田一平/三浦雄一郎/笠浩二/ムッシュかまやつ/おぎやはぎ(小木博明・矢作兼)/袴田吉彦/山崎樹範/高良健吾/大塚寧々/佐々木希/吉高由里子/坂本龍一 http://www.suntory.co.jp/enjoy/movie/d_s/901998712001.html http://www.youtube.com/watch?v=p8ZA3IvZnCo 『上を向いて歩こうC』篇 60秒 2011.04.15 Fri 出演者 : 坂本龍一/永瀬正敏/萩原健一/松田翔太/高島彩/トミーリージョーンズ/三吉彩花/八嶋智人/高橋克美/桐谷健太/テリー伊藤/榮倉奈々/矢沢永吉 http://www.suntory.co.jp/enjoy/movie/d_s/901998710001.html http://www.youtube.com/watch?v=dix6oHKzGjQ 『上を向いて歩こうD』篇 60秒 2011.04.15 Fri 出演者 : 堀北真希/水前寺清子/大森南朋/ゴスペラーズ(北山陽一・黒沢薫・酒井雄二・村上てつや・安岡優)/鶴田真由/及川光博/吉永淳/加藤茶/仲本工事/村田兆治/浜美枝/小雪/マギー司郎/コンドルズ(鎌倉道彦・近藤良平・藤田善宏)/石井正則/カンニング竹山/仲里依紗/桐島かれん/大滝秀治/佐藤健/蝶野正洋/光浦靖子/トミー・リー・ジョーンズ http://www.suntory.co.jp/enjoy/movie/d_s/900545459001.html 20110415 見上げてごらん夜の星を サントリーCM 2010年 02月 11日
2009年 12月 25日
2009年 02月 11日
2005年 12月 09日
PV11. Can't Help Falling In Love - UB40
【EN博】画像祭り/コラボ編(ikkyuu_as_cousakuさん) 無人のスタジアムにいる。 夕暮れがあたりを包み、スタジアムの照明は、すでに全機スイッチが入れられているようだ。 毎年US OPENが行われるシェアースタジアムは、今日はなぜか無人で、すり鉢状の底にあるテニスコートのネットポールはライトを浴びて四方に影を伸ばしているが、まだ、夕暮れの太陽の影が一番色濃い。カクテルライトの4本と、太陽光の1本の影がテニスコートに伸びている。 US OPEN が行われるのは、秋がとっくに始まっていている季節のはずなのだが、まだ夏のように暑い。蒸し暑い夕暮れの無人のシェアースタジアムに一人で座っていた。 --- スタジアムの最も高いところにある席からは、多分選手の区別や、球種はわかっても、表情はとても分からないと思う。見上げると、スタジアムのヘリと、夕暮れが過ぎかけた、青と夜の色の間の空の境目は、ライトが逆行気味になりわかりにくい。 コートサイドの席から、コートまでは1m弱の高さがあるが、そこを降りると、テニスコートの表面はまだ、昼間の太陽のせいで暖かい。 コートに座ると、風が全くないことに気がついた。音もしない。 音のない夕暮れの空を見上げていると、急にスタジアムのへりから超低空でジャンボジェットが出現した。 それは、ゆっくりとスローモーションでスタジアム上空を横切っていく。 US OPEN を邪魔する、ラガーディア空港からの飛行機が通常考えられない速度と高度で、スタジアム上空を通過している。 音がしないせいもあるが、主翼の先端のライトを点滅しながら上空を横切る飛行機は、クジラのようだ。 クジラの胴体には航空会社の名前がなく、かわりに普段の高度では気がつかない小さなライトまで肉眼で観察することが出来る。 スタジアムの底に寝そべってジャンボを見上げながら、不意に自分は傲慢な人間なのではないかと考えた。 --- 自分を省みる場合に、判断が的確だったか、時期を誤らなかったかなどについて考察はしても、態度や、指示の仕方に傲慢なところがなかったか、ストレスを感じる職場において、他の人を慮る余裕を考慮に入れることを忘れてはいないか。 もっと言えば、本当は自分は他の人に甘えていないつもりが、好意に寄り掛かって行動しているのではないか。代償を提供すれば、不遜に見える行動も許されるのではないかと、考えるむきがなかったか。 --- スタジアムの300メートル手前から、やや仰角をつけてカメラを設置したら、たぶん、無音のジェット機から発生した無音の波が、スタジアムのまわりのパームツリーを揺らしているだろう。 その時僕はなぜかUB40の曲を思い出した。 素直に自分に足りない部分を見つめて、向上しようとすることは、なかなかできないことなのではないかと、ゆっくりと海面を泳いでいくクジラのような飛行機の機体を、スタジアムの底から眺めながら、考えていた。 ![]() 画像作品 by Crazy_mam さn More 2005年 07月 05日
PV 朧月夜~祈り - 中島 美嘉
誕生日の おごちそう。 absinthさん、おめでとうございます。 終電が近い時間に、ドアを開けると、客船桟橋の向こう側に、小さなビルくらいの高さの大型客船が滑るように海面を移動していた。 信号で3つくらいの距離には晴海埠頭が見え、東京湾には波がほとんどない。桟橋に波があたる音だけが時々聞こえる中、水面を無音で移動する大型の客船には、明かりがともっているのだが、どうしても人間が沢山乗っている「乗り物」には見えない。 無音で異動するビルほどの容積をもつ、「乗り物」。視界を移動していくその客船により、視界全体に現実感が失われる気がした。 晴海ふ頭側のネオンが海面に移り、空には朧月がかかっている。 あの客船のせいではないが、この現実感のない風景は、小学校にあげるまえに行った一面の菜の花畑を思い出させた。 --- 父の勤める農業試験場の北側に菜の花畑はあった。広大な牧草地の脇をアスファルトで舗装された道があり、それを何キロも行くと、その菜の花畑はある。 巨大な欅が、道路の両側に並び、菜の花畑の東側の境界線を作っている。 菜の花畑から見える山々には雪が残っている。雪解けのあと生えてきたまだ柔らかい牧草と、菜の花の匂いがいっぱいでクルマの窓を開けているときよりも、停車したあとのほうが、余計に菜の花をリアルに感じることができた。 水仙や、菜の花の黄色い花は、あまり好きではなかった。もっとキレイで、もっと儚げで、夢のような花があるはずだと思っていたが、目の前の一面の菜の花畑は、小さい頃の僕にとっては異様に写り、現実感を奪うにはその黄色い洪水のような菜の花畑の広さは、充分だった。 一度だけ、夜の菜の花畑に母と来たときに、曇った空に稜線をあいまいにした山の上に朧月夜が見えたことがあった。 「おぼろづきよ」というのは、その時初めて聞いた言葉で、月とどう違うのか、わざわざ別の名前にする意味があるのか、その頃は理解できなかった。ただ、今日(今夜)は月が不思議な形をしているとしか思えなかったから。 ただ、なぜか父も弟も一緒に暮らしていたはずなのに、母と二人で夜の菜の花畑にいる僕は、稜線の上のぼんやりとした月を見ていた。 母は、あまり話さず、少し前を歩いていた気がする。母の後姿を見ながら、僕は朧月夜のした、夜の菜の花畑のなかの舗装されていない道を歩いていた。 朧月夜は、そういう現実感のない風景を思い出させるのだが、あの時もそうだった気がする。 ![]() --- 5月のはじめのある夜、僕は、欅の街路樹を一人で歩いていた。 自分の足音を聞きながら、一人で夜の道を歩くのは好き。 断片的に思い出す、チームを組んでいた同僚との会話の切れ端。 「どうしてあの時即断できたのかわからない。自分でも不思議なんだ。」 ― そう?私は説明はできないけれど、その理由・答えは自分の中にはあるけど 「考えたいんだよね。材料が少なすぎるのに、どうして即断したんだろう・・・」 ― ・・・ 「そもそも、こういう風に自分が下した決断について悩むことに意味があるのかな」 ― 混乱すること、混乱の中に自分がいることを自覚することは、私には不思議ではなくてしばしばあるわ 「俺は混乱することがあまりないし、するとしても、今みたいに考えたりするからそれを他の人の前でみせないと思うんだよね 」 ― それが、あなたのやりかたなんでしょう? 「そうかも。ところで、ゆれ幅がある感情を表に出すってどういう風な気分になるの?」 --- 欅の街路樹の葉を風が揺らすと、梢の向こう側に朧月が見えた。 僕は彼女の言動についていつも不思議な感情を抱いていた。 他の人がそのまま通り過ぎてしまうような事にも、深く考え、それが適切なのか、彼女にとって正しいのか、、、いつも立ち止まって考えている彼女。どうしてそんな風に立ち止まることをいとわないのかが、不思議だった。 --- 梢の向こう側に見える、朧月を見ながら、朧月夜を歌ってみると、不思議と歌詞を憶えていて、意外なほどの記憶力に戸惑いも覚えながら、僕は欅並木を歩いていた。 そういえば。 あいつも、月が好きとか言ってた気がする。 僕は、なにか大切なことや、言っておきたかった事があった気もするけど、忘れてしまったことに少し後悔していた。 物事には、言うべきタイミングがあるという事は薄々感づいていて、でも、そういうふと気づいた「大切なこと」「言っておきたかったこと」はすぐに忘れてしまう。 言うべき人と一緒にいる時には思い出せないことが多いし、逆に、一人のとき、例えば、夜中一人で目覚めたとき、一人でこうして歩いているとき、なにか美しいものを見たとき、思い出すことが多いような気もする。 今度、なにか思い出したらすぐに伝えたいな。と思いながら、一人で朧月夜の欅並木を歩いていった。 【朧月夜】 影浦安武のこと そして真田という男について に続く。 absinth さんが続編を書いてくれました。 閉園PV 記憶」 「舞台:記憶 【後編】」 記憶 - 雨 (1) - 記憶 - 雨 (2) - の 続きです。っで、真田という人物はいまいちにぶいというか、他の人の感情に疎い面があるなと思いました。 More 2005年 07月 03日
PV Wrapped Around Your Fingers - the police
感謝の日 毎日君誕生日おめでとうございます。 彼はいつも、正面を向いてお酒を飲む。だから、カウンターで横に座って、お酒を飲んでいると、私は、いつも彼の横顔を見ていることになる。 でも、横顔を見つめるのに飽きると、いつも、カウンターの上に置かれた彼の手を見てしまう。 --- タバコを、ボックスから取り出して、しばらくくるくるまわす。 彼は、なにか私に向かって話しかけてるけど、今は聞こえない。 彼の指の動き、指のかたち、ずっと見てしまって、目が離せない。 運転しているときも、そう。 車が止まっているとき、ハンドルの上で、ピアノを弾くように、パラパラと動くその指。 運転中に、ごそごそと、タバコを出して、灰皿に灰を捨てているときの伸ばした指。 --- 彼の指だけが好きなわけじゃないのは、自分だってわかっているけど、私は、彼の指に夢中。 じゃあ、彼は私のどこに夢中なのかな。どこでもないのかな。全部?そんなことないよね。 --- また、タバコに火を付けてる。ほんとに、さっきから吸いっぱなし。 でも、この店の、カウンターの上の彼の指、そして指にはさんだタバコ、タバコの煙が、彼の指に、一瞬まとわりついて、また、カウンターの上の空間へ、吸い込まれていく。 そんな彼を見ている。幸せな瞬間。 PV ![]() Wrapped Around Your Fingers - the police いつも、みんなに指がキレイって言われてる毎日君へ。 いつか、手首から先、こうさくさんと交換してあげますよ。っていうのを楽しみにしてるよ。 えー。 まだまだ若いんだね。25?マジ?いいなー。早く、夢がかなうといいね。 2005年 06月 22日
![]() PV Fayray - Someday raphieさん誕生日おめでとうございます。 --- 私は、彼に何を求めているのだろうか? もしかしたら何も求めていないのかもしれない、期待も。私は他人に依存する関係が嫌いだから。いいえ、依存するのが嫌いなのではなく、依存したことを後悔することを恐れているのだ。 --- 夜の海に来ると、私は落ち着く。 月の静かな夜も、雲が立ち込める夜も。 半島の先に建つ灯台は、真っ暗な海を照らしている。 雲が低く暗い空の下、灯台の光は海の彼方までまっすぐに光を放っている。 灯台とは、迷うものを救う為にあり、目にしたものの希望であるべきなのではないか。 地上に立ち遠く半島に建つ灯台を見上げる私は、太陽と比べるとあまりに弱いその光を、比較してはいけないと思いながらも頼りなく感じてしまう。 では、私自分は暗い海を照らす、希望の象徴のような灯台になれるのだろうか? 見るもの全てに救済をイメージさせる、全能の灯台。 そんなものになれるとも思えないし、私には、私を見て関る全ての人間を救うほどの力もなく、ただ自分一人に責任を持とうとするだけで精一杯だ。 彼と会うだけで、心が静かになり、他の人からの期待や義務から自由になれる。 彼の話す言葉が、私に重荷を下ろすことを許してくれる。 彼と一緒にいるだけで、私は完結した静寂の中に浸っていることができる。 私の乗った船は、暗く立ち込める雲の下をさまよっていた。 暗い海を行く、私しか乗っていない小さな船。 星なんてあることすら忘れてしまう、空を見上げることもできない嵐の中。 月すら見えない暗い夜に、灯台の光が見えたのなら。 彼と私の為だけの場所に導いて欲しい。 地上から彼を見る私は間違っているのだろうか? 私には彼が希望なのだろうかと、灯台を見上げながら、地上の私は思う。 ![]() All Photo by harvestrain さん 南紀ひとり旅 ~明け方~という記事の灯台を見たときに、これの原型が浮かび、Fayrayの Someday を聴いたときにイメージが浮かびました。 Fayray - Someday 2005年 04月 02日
その小さな島の港がある入り江に船が入ると、太陽はもう真上から傾いていた。
船の上から海を覗き込むと、海の中を小さな魚が泳いでいるのが見える。娘がもっと幼い頃は、小さな魚が出てくる話が大好きだった。 今、その話をしても娘は喜ばないと思う。 とにかく娘というのは難しい。 --- 3年前に別れた妻が小学校に入学する前までを過ごしたこの小さな島には彼女の実家がある。彼女とは、今でも仲がいいのだが、それは娘がいるからだと思う。 離婚する事を決めた時、5歳になった娘に今後どうしたいかを尋ねたことがあった。 娘は少し考えて、「私、お父さんと一緒に暮らすけど、お母さんとも仲良くしなきゃダメよ。」と、答えた。僕ではなく、娘の今後を尋ねたのだけれど。 --- 元妻の母親は、彼女(元妻)と同じくピアニストだ。 彼女(元妻)がレコーディングやライブに参加するスタジオミュージシャン、つまり演奏家であるのに対し、母親の方は作曲家で、世界的に有名なピアニストである点で、彼女とは異なっている。元妻も、作曲をしていない訳ではないが、母親ほど、有名ではない。だけど、僕は、彼女の作る曲が好きだ。 今回この島に来たのは、親子3人で、半年振りにゆっくりと娘の誕生日を祝うという意味もあったのだけれど、他にも目的があった。 たまたま、彼女の母親に用事で呼び出された際に(彼女同様に、その母親とも離婚した今も仲がいいのだ)、娘の誕生日のプレゼントを世間話程度に相談したときに、「あの子には、私が持っているラヴェルの“月の光”の楽譜をあげたらどう?直筆だし価値があるものなのよ。」と答えた。 8歳になる娘は、ラヴェルの楽譜を喜ぶのだろうか。 --- 彼女の実家は、小さな港町を抜けて岬を回りこんだ小さい入り江を望む古い建物だ。彼女が小学校に上がる年に、NYに移住した後も、別荘として使えるようにメンテナンスを怠らなかった。 彼女は僕と知り合った頃も、結婚した後も、離婚した後も、年に数週間を、この島で過ごしていたし、僕も何度か彼女と一緒に(娘や、彼女の母親が一緒の時もあった)、この島を訪れていた。小学校に上がる前までを過ごしたこの島や別荘は彼女にとってリラックスできる場所なのだろう。 数日前に電話で話したときも、彼女は先に別荘に行っていると話していた。 小さな港町を抜け、岬を回りこむ道を娘と二人で歩いている時、僕は彼女が持っている母親のピアノを想い出していた。 別荘にはピアノが3台ある。1台は彼女のピアノ、もう1台は1階のリビングにあり、もう1台が彼女の母親の部屋にあるピアノだった(その値段を聞いたときには、本当に驚いたけれど)。何度か訪問した際にも、僕はそのピアノには触らなかった。僕もピアノを弾くけれど、彼女や彼女の母親のようなプロフェショナルではない。 彼女と暮らしているとき、僕は何曲か作曲したことがあった。僕が作った曲で、彼女が気に入ってくれた曲は、娘の名前をつけた曲だった。 それとは別の曲で、すべての鍵盤を使う、ピアノの練習曲(それは、ハノンのようなものだったけれど)を披露したときは、彼女は途中で寝てしまっていた。 「あなたの文章はとても好きだけれど、曲はそうでもない。あなたの文章も好きだけれど、でもあなたの服のセンスはどうかと思うわ。」と、彼女は言っていた。 --- 岬を右手に見ながら回りこむ道の途中に彼女が待っていた。 彼女はしばらくの間、黙って娘を抱きしめていた。そして僕のほうに歩いてくると、ベルトの上あたりに腕を回して、その後で僕の頬に触ると「少し痩せた?」と言った。 別荘まで歩く間、母娘が手を繋いで前を行くのを見ながら、後ろから歩いているとき、僕は彼女と離婚した理由について、道筋だてて思い出してみたが、結果はさっぱりだった。いずれ、娘も僕と離れて暮らしたいと思う日が来るのだろうけれど、それについて考えることは寂しかった。 別荘に到着してしばらくすると、さらに太陽は傾き、入り江は、だんだんとオレンジ色へと、色調を変化させていった。僕は、この別荘からみる、夕日が好きだった。空の色が、濃いブルーと紺色の間くらいになったあたりで、僕は料理にとりかかった。彼女と娘は、目の前の砂浜を散歩しているようだ。 --- 親子3人で食事をし、娘が寝た後で僕はゲストルームのベットに寝転んでいたが、眠気がまったくなかったので、昼間想い出した彼女の母親のピアノのある部屋に行ってみることにした。 母親のピアノは、窓からさす光の中に浮かび上がっていた。 彼女がよく言っていることだが、ピアノというのは、本当に一台一台、本当に個性がある。それは、タッチの重さだったり、鍵盤の色あせ具合、音のこもり具合など様々だが、存在感があるピアノというのは、めったにないと思う。 月の光の中で見るそのピアノは、呼吸をするように、そこに存在していた。 彼女が幼い頃、彼女の母親は、よくこのピアノを弾いてくれたそうだ。まだ、彼女は自分専用のピアノがなかったので、1階に置いてあるピアノで練習をしていたそうだ。彼女は、母親の弾くピアノを聴いているのが好きで、中でも“月の光”が一番好きだった彼女は、母親に何度もリクエストしたと、聞いたことがある。 勝手に、そのピアノを弾くことはためらわれたが、1階のリビングは防音になっていないし、彼女の部屋のピアノを弾くわけにもいかない。(なにしろ、彼女の部屋では、娘と彼女が寝ているのだから)。 僕は、ピアノの反響板を持ち上げて固定し、鍵盤のカバーをそっと上げた。 月の光を反射して鍵盤は不思議な白さで光の中に浮かんでいる。日に焼けてもいないし、シミもなく、古いピアノとは思えないほどキレイで、それは、鍵盤をすべてオーバーホールしたのか、それとも、このピアノが特別なのかはわからないが存在感があった。 鍵盤に指を置くと、指先に冷たくしっとりとした鍵盤の感触が伝わった。 僕は、彼女が気に入らなかった、すべての鍵盤を使う練習曲を弾いてみた。すべての鍵盤をくまなく使うというコンセプトは馬鹿げているとは自分でも思うけれど、でも、練習曲なんて、指のウォーミングアップができればそれでいいのだし、僕にとっては、ピアノを弾く前の儀式になりつつあった。娘と二人で暮らすようになっても、いつもこの曲を弾いてから、自分の弾きたい曲を弾くようにしていたため、娘もなんとなく憶えてしまっているようだ。 彼女の母親が持っているラヴェルの楽譜は、もうひとつ奥の書庫兼ベットルームにあるそうだが、ゲストルームに書庫の鍵を忘れてきたため、楽譜を取りにいくのは後回しにした。 彼女の母親の部屋の窓からは、小さい入り江を見渡すことが出来た。防音のガラス越しに見える右手の岬の上に白い月が出ている。 月の光の中で、音もなく波がゆっくりと砂浜を行き来し、沖のほうまで見える海にはほとんど波が見られなかった。音のない世界で見る海は、死の世界に存在する海、というか、生きているもののがすべて息絶えてしまった後、海や、太陽や、風だけが存在する世界の海のようだ。 僕は、せっかくだから“月の光”を弾いてみることにした。 彼女と結婚している間、彼女はあまり僕の前でピアノを弾くことはなかったけれど、僕はよく彼女の前でピアノを弾いていた。僕はピアノを弾くのが好きだし、ピアノの曲がすきなのだ。 “月の光”は僕が中学生の時に、たまたま聞いて以来好きになり、以来弾くようになったのだが彼女と話すようになったきっかけもこの曲だった記憶がある。窓からさす月の光の中でこの曲を弾いていると、ふとそんなことが思い出されたのだけれど、たぶん彼女に話したら馬鹿にされるだろうなと思い、娘ならどう思うだろうと考えながら、ピアノを弾いていた。 そういえば、娘の前で月の光を弾いたことはない気がする。 CDを聞くときはたいてい自分の部屋が多い。娘はスタンダードジャズが好きだ。 --- 翌朝、改めて彼女の母親の書庫を探したが、指定された場所に、ラヴェルの楽譜はなかった。 娘と彼女のために朝食を作りながら、僕は彼女の母親にも、ハウスキーパーにも電話で尋ねたが、どうしてもラヴェルの楽譜を見つけることができなかった。 朝食の席で、僕がこの話をすると、彼女はたまに来ているゲストが借りて要ったんじゃないかといい始めたが、母親の話では、その楽譜は確かに書庫にあるという話だった。 娘の誕生プレゼントに楽譜を考えていたこともあり、楽譜が見つからないと困ったことになるなと考えていると、突然、娘が「ママ、パパを困らせないで!」と言った。 娘には、いつも驚かされる。 2005年 02月 20日
PV小沢健二 - 愛し愛されていきるのさ
7月の終わりだった。地下鉄の駅から階段をのぼると、雨はあがっていた。 地下鉄の駅出口のひさしから、外に踏み出すと、外は晴れていて、アスファルトの歩道はさっきまで降っていたとおり雨で濡れていたけど、水溜りに映る空は青い。いつもの空よりも、少しだけ青みが濃い気がする。 家から電車に乗るときに、振り出した夕立ちは、私鉄が地上を走っているうちは降っていた。電車が地下を走っているうちに、雨はあがったんだ、傘持ってこなくてよかったって思った。傘を持ち歩くのはきらい。 --- その頃バイトしていた会社に行って、ちょっと用事をすませて、今日は帰っていいですか?って聞いたら、今日はヒマだしいいよって言われたので、また地下鉄の駅に向かって会社を後にした。今日は授業もないし早く帰りたかったしいいや。 地下鉄の駅に向かう途中には、公園があって、そこの向かいにはすごく大きいホテルがある。というか、このあたりは、大きいホテルがたくさんある。で、公園に行く前に通りかかる大きなオフィスビルの1階にはコンビニが入っているんだけど、そのコンビニで雑誌を見たりしているうちに、彼女の事を思い出したので、携帯をかけてみたけどでなかった。 --- 公園の入り口から、ホテルへと抜ける道には、森のように大きな木が沢山生えている階段がある。雨があがったばかりだから、風が吹くと、木の葉から雨が落ちてくる。木の間から見上げると、もう空は青じゃなくて、青にうすいピンクを少しだけ混ぜたような色になっていた。MDを聞きながら、階段をジャンプしながら下りていくと、なんかしきりに彼女の事が頭に浮かぶので、昨日もけっこう夜遅くまで一緒だったけど、で、さっき電話したばっかだけど、もう一回、電話をしてみた。 風が気持ちいい。彼女は、電話にでたけど、まだ寝てたみたいでまた近くから電話してって言っていた。いつまで寝てんだよ。と思ったけど、ま、公園には誰もいないし、雨のせいで、いろいろなものの色が少しずつ濃くて、それは、僕にしかわからないかもしれないけど、とてもわくわくした。だんだんと色を変える空の下でこの公園に一人で、これから彼女に会えると思って、風に吹かれながら歩くのは本当に、幸せなんだけど、これは他の人にはわからない感じなんだろう。 ホテルの前の道路には、八重桜が街路樹として植えられていて、反対側は、サルスベリになっている。サルスベリのピンクの花は、下からみるとキレイだ。雨に濡れてサルスベリの樹の表面のグラデーションが少しだけ、普段よりもハッキリしていた。 地下鉄の駅は、冷房が効いている。電車の車内も冷房が効きすぎている。あまり、人がいないけれど、席にはすわらずに進行方向の右側のドアのところに立っていた。地下鉄とJR、私鉄のターミナルを地下鉄は幾駅か過ぎて、電車は地上に出た。 ![]() --- 大きな川がホームから見えるその駅で降りると、駅前から河原の方へと歩いた。 河原には、人が出始めていた。夕方になってだいぶ涼しくなってきたからかもしれないけど、空は、もうピンクが主で、どちらかといえばもうオレンジかもしれないけど、いろいろなものが普段と違った感じの色になっていた、そういえば電話をしなきゃいけない。彼女に電話をすると、もう起きていた。あともうちょっとで着くから、どこ行くか考えといてって言って電話を切った。 夕焼けの河原には、さっき公園で吹いていたような風が吹いていて、気持ちがいいんだけど、それ以上にテンションはあがっていて、なんでそんなにテンションが高いのかわからないし、絶対聞かれるなと思ったので、理由を考えてみたけど、見つからなかった。 --- 河原には、そう、けっこう人がいて、たぶんそれは、10年前も、20年前もいたんだと思う。夕立が上がって、涼しくなって、夕焼けの空がキレイで、しかも用事が特になくて、会いたい人がいる夕方なんてよく考えたら、年に何回もあることじゃない、んじゃないかな。でも、突然誰か(というか彼女ね)に会いたくなっただけ、っていう感じでテンションが高い理由はいいかと思った。 確かに、僕たちは時に悩んだり、傷ついたりもするし、嫌な事もある。あったし、これからだってあると思うけど、こういう美しくて素晴らしい瞬間だってこれからもあるはずだし、そういうことを共有できる人がいるのは本当に素晴らしいなと、多分、僕はそのとき感じたんだと思う。 photo by らへんさん--- 彼女の住む部屋はもうすぐ、土手にあるサイクリングロードから入り口が見えるマンションだから、また電話をして、もう降りてきてって言おうと思って、もうオレンジにピンクを混ぜたような夕焼けの光が作る影を見ながら、僕は携帯を手にとって、河原の土手の階段を登った。 PV カゴメ野菜生活 CF*視聴可 ⇒Sweet Family 篇 Sweet Lovers 篇 愛し愛されて生きるのさ はLifeの一曲目。そう、CDをかけると最初にこの曲がかかります。 前の「強い気持ち・強い愛 ~ Metropolitan Love Affair ~ 」の時もそうだけど、これも94年当の感じを思い出して書いてみました。 【第8回恋文企画・届けこの想い!】にTB ・**☆**・・**☆**・恋文企画・**☆**・・**☆**・ お題の相手に向ける、フィクションの恋文を創作するTB企画 選考は、お題の相手(対象)が決定権します。 優勝者は、次回のブログ指名ができます。 開催期間: 2005年2月4日(金)〜2005年2月21日(月)午前0時 審査員: 「よかった探し。」のColortailさん 応募方法:次のURLにトラックバックを送る http://rosslynva.exblog.jp/tb/1920893 審査方法: お題ブログの製作担当者からの、返信トラバにて決着! ※ 誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。 第8回主催: Rosslyn Papers (by raphie) ・**☆**・・**☆**・・**☆**・・**☆**・・**☆**・・**☆**・ 小沢健二 - 愛し愛されて生きるのさ ~ Love is what we need ~ < 前のページ次のページ >
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